PET(ペット)ってなに!?


 前号では、がんを治療するには早期発見が大切なこと、その診断には、がんの種類に応じて最も確実に発見できる検査を受けることが大切であることをお話しました。例えば乳がんではマンモグラフィ(若い人にはエコーも)、胃がんには胃カメラ、肺がんにはCT、大腸がんには大腸ファイバースコープ(内視鏡)などが有効で、これらの方法で検査を受けておれば一応安心と言えます。

 ところで最近PET(ペット)という言葉を耳にされたことはありませんか。かわいい犬や猫のことではなく、アイソトープを使って病気の診断をする検査の名前です。皆さんもCTやMRI画像に関しては何処かで一度は見たことがあると思います。PETでも同じような全身の断層画像が得られますが、その原理は全く異なります。CTもMRIも病変の形態をもとに病気の診断をするのに対し、PETでは臓器における様々な生理的機能を調べ、それをもとに画像を作って診断を行います。例えば脳におけるブドウ糖集積の分布を画像化してアルツハイマー病の診断をしたり、心臓の血流状態を示す画像を観察して心筋梗塞の診断を行います。しかも検査は、注射をした後安静にしているだけで良く被曝も少なく安全です。

 特に最近注目されていますのがFDGという薬剤を用いたPET検査です。 FDGは体の中でブドウ糖の使われる部分へ集まるという性質を持っています。がん細胞はブドウ糖を栄養源としてどんどん増殖しますので、FDGががんへ集まり画像上で信号を出すのです。さらに今話題となっていますのが、PET−CTと呼ばれる新しい診断装置です。これはPETとCTを同時に撮影できるもので、FDGによるPET画像にCT画像を重ね合わせることにより、直径5mmの小さな癌でも正確に診断できるようになります。特に日本人に多い肺癌、大腸癌、乳癌、リンパ腫、膵癌などに有用で、最近ではPET−CTを用いたがん検診も全国的に盛んになりつつあります。現在PET―CTを用いたがん検診センターが全国に続々と創られつつあり、三重県内でも大学病院、松阪の済生会病院、鈴鹿の塩川病院などで始まろうとしています。

 それではPET-CTさえ受けておれば、全てのがんが確実に見つかるのでしょうか。残念ながらそうではありません。個々のがんの診断に関しては、最初にあげた検査法の方がPET−CTよりも勝るのです。両者を学生に例えれば、PET-CTは全ての科目でまんべんなく80点以上取る優等生ですが、しかし90点を越えることはできません。ところが、それぞれの科目にはその科目だけが得意で、限りなく100点に近い点数を取る偏屈な学生がいる、そのような関係に似ています。 PET-CTはここ2,3年のうちに急速に普及して、おそらく何処の病院でも検査できるようになってくると予想されます。車で国道を走っていますと、よく「PETクリニック」と書かれた犬猫病院を見かけますが、これからは人間相手の病院の可能性もありますので、間違ってワンちゃんを連れて行かないようにご注意下さい。

三重乳がん検診ネットワーク代表
三重大学医学部放射線科     竹田 寛