治るがんと治らないがん


 前号では、乳がんの治療には早期発見が大切であることをお話しました。今回はいろいろながんの中で、どんながんが治り、どんながんが治りにくいか、お話します。

 一般にがんは早く見つければ治ります。進行していない早期がんの状態で発見するのです。では早く見つかるがんはどんなものでしょうか。一つは症状の現れやすいがんです。がんの小さなうちから何らかの症状が出現するもので、例えば乳がんです。日頃乳房にしこりができていないかどうか自分で調べることにより、早期発見することができます。皮膚がんや舌がんなど体の表面にできるがんも同様です。逆にすい臓がん、腎がん、子宮がんなど体の深部にできるがんは発見が遅れがちになりますが、稀に早くから症状が現れ早期発見されることもあります。運の良し悪しがあります。しかし概してがんは症状が現れにくく、症状の出た時には既に進行している場合が多いのです。症状の出る前に発見して治療することが大切なのですが、そのためには症状のあるなしにかかわらず一定の年齢(40歳ぐらい)に達したら検診を受けるように心がけることです。たいていのがんは、発生してから2年前後は早期がんの状態でいますから、1〜2年に1度検査を受けていれば早期発見できます。胃がん、肺がん、大腸がん、子宮がん、乳がんなどは早く見つければ完治するのに、そのチャンスを逃すことはありません。怖がらずに検診を受けること、これが大切です。

 しかし検査を受ければ良いという訳でもありません。私の友人ですが、毎年バリウム検査による胃がん検診を受けていてずっと異常なかったのですが、一昨年の検診で突然、進行胃がんがみつかりました。手術はできず1年半後に53歳の若さで亡くなりましたが、彼が毎年受けていた胃がん検診は何の役にも立たなかったことになります。その原因は、彼が一度も胃カメラを受けていなかったことにあると考えられます。バリウム検査では、胃がんの発生する部位によっては発見できないことがありますが、胃カメラは見落としの少ない検査法です。もし彼が胃カメラを受けていれば、もっと早く発見されたのではないかと悔やまれます。私は胃の検診を受けたいという人、特に20代から40代の女性には、胃カメラを受けるように勧めています。胃カメラでは被曝がありませんが、バリウム検査ではかなりの量の放射線が卵巣にかかるからです。同じがんを発見する検査法であっても発見率や副作用が異なりますので、最適の方法を選ぶことが大切です。さらに検査担当者の能力も大事です。せっかく良い方法で検査しても撮影者や読影者の技量が低ければ、見逃されてしまいます。我々の三重乳がんネットワークは、マンモグラフィの撮影や読影に関するプロ集団です。安心して乳がん検診を受けることができます。

 治るがんも治らないがんもあなたの心がけ次第です。信頼できる医療機関で、症状が無くても定期的に検診を受け、がんを早期に発見することが大切です。早くみつけたがんが治るがんであり、発見の遅れたがんが治りにくいがんなのです。

三重乳がん検診ネットワーク代表
三重大学医学部放射線科     竹田 寛